近代工業化学薬品肥料栽培と
ラン菌による炭素循環ラン栽培。
農学と園芸学と植物学の狭間で・・・・
植物を栽培する場合、三つに細分化された学問の中で、
関連しながら行われている。
植物栽培と肥料
近代の無機化学肥料が発明されるまでは、動物(家畜)、人間の排泄物を与えると、
植物の生長が良くなるということで、排泄物が肥料として与えられてきた。
1840年、ドイツのリービッヒが「無機栄養」で植物が生長することを明らかにし、
植物に必要な元素は16種であることを突き止めた。
この発見まで、植物の養分は土壌の有機物かた摂取されていると考えられてきた。
有機物も微生物によって分解され、無機のイオン形態で植物に吸収される。
この発見が、今日の植物、作物栽培の基本になっている。
有機物由来の肥料も、微生物によって最後は無機になり吸収されるというものである。
1913年 ドイツのハーバーとボッシュはアンモニアを工業的に合成し大量生産が可能になった。
第一次世界大戦当時、ドイツは3国連合国からチリ硝石の輸入を封鎖され、
食料不足状態になり、窒素源の調達は国家の存亡に関わるものであった。
ハーバーとボッシュのアンモニア合成によって、第一次世界大戦で使用した爆薬は、
このアンモニアから作られた硝石で賄われた。
肥料と火薬の製造。
食料と火薬こそ国家存亡に鍵であることは、現在も同じである。
日本の食料自給率40%、エネルギーは・・・・・?
ラン栽培では原油価格が重大な意味を持っている。
このアンモニア合成は、有機物の微生物のよる分解というプロセスを経なくとも、
これらの元素を直接土に与えることで植物の生育は促進するということが見出された。
近代の無機化学肥料の農業、園芸のここがポイントである。
食料確保は国家の安全保障の問題。
資本主義ビジネスは多収穫を目指す。
この無機化学肥料栽培は、食糧増産に切り札になり、現在までつづき、
植物イコール肥料を施す考えが普及している。
現在のラン栽培も、フラワービジネスの中で肥料浸け栽培が行われている。
1910年から20年代のナドソンによるランの無菌播種法の発明は、
前記のリービッヒ植物必須元素の解明とアンモニア合成法の発明が元になり、
その後、ランの大量実生の育苗は、この世界最先端の無機化学肥料が用いられ、
このときから、現代までのラン栽培の基礎となっている。
ナドソンの無菌播種に用いられた培養基にはエネルギー源としての炭水化物である「糖」が添加されている。
この糖を添加したところに、ナドソンの深い自然観察と知識が凝縮されている。
1852年、ドミニーがラン菌による発芽に成功したが、このラン菌が種子に供給した成分が、
枯れ葉、植物死骸をラン菌が分解した「糖」である。
この糖を削除しないで培養基に有機の糖を添加したところが、大発明のポイントである。
無機にナドソンはこだわらなかった。
しかし、ランが菌根植物であるという根本が、ラン栽培から次第に削除されたのである。
近代農法では菌根菌の存在を重要視しないで、肥料で増収を図る方向に行ったのである。
この流れの中で・・・・ラン栽培にもこの考え方が導入され、一般の作物栽培技術が導入されていった。
発芽後は、ランも一般の植物と同じように、エネルギーは葉の光合成で賄うことが出来る
独立自養植物としての考えから、コンポストからラン菌を削除し、無機化学肥料でも栽培可能という
考えで今日のラン栽培法が構築されている。
以上のように、ラン栽培において、養分をほとんど含まない水ゴケ、バーク、軽石などを用い、
化学肥料を与えるのは、この1913年のアンモニア合成法がもたらした栽培法である。
これが、現在各地で行われるようになった「植物工場」の基礎理論になっている。
イチゴ、バラなどで行われている「養液栽培」の基礎理論でもある。
戦後、日本は食糧難から、多肥料の施肥のよる増産が図られ、
今日まで、農業、園芸で多肥栽培が広く行われるようになった。
このような時代の潮流の中で、園芸、ラン栽培でも多肥栽培が普及した。
爆発する人口。
この化学肥料栽培が、土壌の劣化を招き、病害虫の多発、塩類蓄積などの
諸問題が現れ、それと呼応するように有機農法が行われるようになった。
極端には全然化学肥料を使わない農業まで現れている。
無機化学肥料栽培と有機栽培。
これからどう進むのか・・・。
SUGOI-neによる炭素循環ラン栽培法は、
無機化学肥料のラン栽培の問題点を、一挙解決したことから、
これまでのラン栽培は、ラン科植物のような菌根植物は、
独立自養植物である一般の作物と違うのではないか
無機化学肥料栽培が・・・無理なのではないか。
こういう疑問が出てきた。
この栽培法では、絶対に自生地を再生できないからである。
腐生ランを栽培できないからである。
なぜだ・・・???
こういう疑問が、宇井清太によるラン菌の発見、更にSUGOI-neの開発ででてきた。
ランの自生地では誰も肥料をやらない。
なぜ、それでも生き続けてきたのか。
植物と菌の共生関係を、化学肥料で置き換えれことが出来るのかという疑問である。
無機の元素で本当にいいのかという疑問である。
地球上の植物の90%は枯れ葉、植物死骸の中で生きているという事実。
ランには葉を持たない、光合成できない腐生ラン、無葉ランまで存在する。
この植物の生存を可能にしているエネルギー源は、
枯れ葉、植物死骸のセルロース、リグニンを材木腐朽菌が分解して出来る糖である。
この糖は、アンモニアの窒素とは、植物生長における役割が異なる。
窒素は生育促進であるが、糖は生命活動のエネルギー源である。
植物が光合成を行うのは、生きるためのエネルギー源を得るためである。
次の世代を残すためのエネルギー備蓄である。
より多くの光合成を行なう工場を大きくするとき必要なものは窒素であるが、
工場を大きくするために必要なエネルギーは糖である。
ラン栽培に用いてきたコンポストには養分はほとんどない。
エネルギーがない。
こういう状態に肥料を与えても、不足しているエネルギーの替りにはならない。
植物の自生地において、枯れ葉、植物の死骸の分解は、
植物が陸上に上がったときから絶え間なく行われてきた。
現在の地上の植物は、菌根植物でなくとも、微生物との関係を築いて生きている。
本当に、ラン栽培で、有機物の分解というプロセスは必要ないのか。
糖の問題を削除していいのか。
腐生ランを化学肥料栽培で不可能であるが、この説明がつかないのはなぜか。
菌根植物。未知に植物である。
謎に満ちている。
この菌根植物も、一般の植物と同じなのかは未知である。
SUGOI-ne栽培で、これまでの栽培と比較して、 驚くべき生育を示した。
このことから「ラン菌による炭素循環ラン栽培法」導き出されたものである。
これまでのラン栽培、植物栽培と根本から異なる栽培法が生まれた。
自生地の自然の法則に添った栽培法が、宇井清太新発見のラン菌によって生まれた。
これまでのラン栽培を根本から覆す革命的な栽培法なので、
多くの実証例を積み重ねて、完全な栽培法を完成しなければならない。
多くの植物で栽培試作してくださるようお願いする次第である。
09年04月27日 月曜日 16:31:51
宇井清太
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